アプリケーション例: 非 ABAP 技術による通信 

ABAP 技術と非 ABAP 技術の間の通信には、同期方法と非同期方法の両方が使用されます。SAP は、ABAP 標準からインターネット書式への変換を行うための多様なスタンドアロンコンポーネントを提供しています。以下のセクションでは、利用可能なコンポーネントおよびそれに固有のアプリケーションエリアの概要を示します。

SAP ビジネスコネクタ

SAP ビジネスコネクタ (SAP BC) を使用すると、HTTP および XML による SAP システムと非 SAP システムとの間の通信が可能になります。SAP BC には、マッピングメカニズムとルーティングメカニズムが統合されています。これにより、たとえば、IDoc を XML メッセージに変換して、インターネット経由で任意の受信側システムに送信することができます。

SAP BC を使用すると、以下のシナリオを導入することができます。

ｷ       仕入先品目在庫と使用している SAP システムとのリアルタイム統合

ｷ       任意の数のサプライヤの製品、価格、および利用可能在庫情報と、使用している購買システムとのリアルタイム統合

ｷ       購買発注モニタリングとサプライヤの内部システムのリアルタイム統合

SAP Java コネクタ

SAP Java コネクタ (SAP JCo) は、SAP 互換コンポーネントおよびアプリケーションの Java での開発を可能にするミドルウェアコンポーネントです。SAP JCo では、SAP サーバとの双方向の通信 (Java が ABAPを呼び出す着信コールと ABAP が Java を呼び出す発信コール) がサポートされています。

Java アプリケーションを SAP システムの ABAP 環境と統合する場合は、SAP JCo を使用することができます。例:

得意先に請求書へのオンラインアクセスを提供する場合。

SAP JCo は、不可欠な SAP ビジネスコネクタのコンポーネントとして使用されます。

また、SAP JCo はアプリケーションサーバ (AS) にも実装されています。これにより、統合された J2EE 環境と ABAP 環境の間の通信が可能になります。

SAP Java リソースアダプタ

SAP Java リソースアダプタ (SAP JRA) は、SAP システム用の J2EE 互換コネクタです。これを使用すると、SAP システムと J2EE アプリケーションサーバとの統合が可能になります。SAP JRA には SAP Java コネクタ (SAP JCo) 用の標準 J2EE インタフェースが実装されているため、J2EE と SAP 間の通信が簡略化されます。

 

AS 6.30 以降では、SAP JRA は J2EE コネクタアーキテクチャ 1.0 との互換性があります。

 

SAP JRA は以下のシナリオで使用されます。

Enterprise JavaBeans を使用して SAP システム内にアプリケーションを開発します。

ｷ       別の J2EE アプリケーションサーバから開始された SAP のアプリケーションの作成における実装ワークロードが最小に抑えられます。

SAP .NET コネクタ

SAP .NET コネクタは、Microsoft.NET プラットフォームとSAP システム間の通信を可能にする開発環境です。RFC および Web サービスがサポートされています。SAP .NET コネクタを使用すると、.NET プログラムをクライアントおよびサーバとして使用することができます。

.NET プログラムをクライアントとして使用すると、以下のことが可能です。

ｷ       SAP システム内で機能 (たとえば、得意先データの取得や照会) を呼び出すActive Server Pages (ASP) を登録します。

ｷ       インタラクティブ処理ガイド (たとえば、得意先受注の入力) を可能にする Windows フォームアプリケーションを登録します。

ｷ       NT バッチ処理を使用して、SAP システムから情報を受信するためのコンソールアプリケーションを導入します。

SAP システム (リリース 6.20 より前) に SOAP インタフェースを提供するための Web サービスを登録します。

.NET プログラムをサーバとして使用すると、以下のことが可能です。

ｷ       外部サーバから得意先受注を処理するために必要な情報 (たとえば、追加の得意先データ) を取得します。

ｷ       外部サーバから SAP システム内で評価を行うために必要な情報 (価格、納入データ、フライト予約など) を取得します。

ｷ       SAP システムから電子メールを送信します。

ｷ       SAP システムから外部システムに IDoc を送信します。

SAP NW Application Server

Application Server (AS) は、コンポーネント SAP_BASIS をさらに開発したものです。SAP NW AS を SAP アプリケーション用の技術プラットフォームとして使用し、既存のベーシス機能に追加して Web アプリケーションを開発することができます。開発したこれらの Web アプリケーションは、SAP ビジネスプロセス内に直接導入することができます。

SAP NW Application Server を使用すると、以下のことが可能です。

ｷ       Java または ABAP のいずれかで SAP アプリケーションを記述することを選択します。

SAP システム内で Web サービスを処理します。

ビジネスサーバページ (BSP) を登録および処理します。