供給分配計画の最適化
供給分配計画オプティマイザでは、サプライチェーンモデルのすべての選択済ロケーションで選択した全製品に関する分配計画を登録します。生産完了後は、まず、供給元ロケーション (在庫がある場所) で実際に利用可能な製品数量がチェックされます。これらの製品数量の合計を、分配可能 (ATD) 数量と言います。次に、この ATD 数量を供給先ロケーション (需要のある場所) に分配する方法が決定されます。この処理を行う場合、オプティマイザでは以下の要素が考慮されます。
● 利用可能な製品数量が需要を超過している場合や、需要を下回っている場合の分配規則 (均等配賦、プッシュ方針など)
● サプライチェーンモデルで定義されたコストすべて(輸送コスト、保管経費、未納入のペナルティなど)
● 輸送能力、保管容量、輸送ロットサイズなどの制約
SNP 供給分配計画最適化プロファイルで、制約と分配規則を定義します。このプロファイルでは、実行時間短縮のための分解方法など、供給分配計画最適化の追加パラメータを定義することもできます。
供給分配計画オプティマイザの目的は?A実行可能なすべての計画(指定した制約すべてが考慮された計画) において、最もコスト効率の高い計画を特定することです。
供給分配計画オプティマイザによって、ATD 数量が供給先ロケーションでの需要を下回ることが検出された場合、SNP 供給分配計画最適化プロファイルで定義したバックログルールが適用されます。以下の規則を利用することができます。
● 最小コストにもとづく配賦
配分する製品数量を計算するときに、供給分配計画オプティマイザによって、サプライチェーンモデルで定義されたコストおよび SNP 供給分配計画最適化プロファイルで指定された制約のみが考慮されます。計算される分配計画は、最小コストの計画になります。
このオプションでは、別のロケーションでの需要がより小さいコストで充足されるために、あるロケーションでの需要が充足されない可能性があります。
● 需要による均等配賦
供給分配計画オプティマイザの主要な目的は、供給先ロケーションでの需要(受注および需要予測) に従って、ATD 数量を均等に配分することです。
計算された数量を配分するときに、サプライチェーンモデルで定義されたコストも考慮されます。たとえば、輸送コストが高い場合、オプティマイザでは割当量を需要ロケーションに直接配分しないで、別のロケーションを通って迂回するように決定することができます。制約が識別されたため、計算された均等配賦数量を個別ロケーションに配分することができない場合、これらの数量はコストに基づいて他の供給先ロケーションに配分されます。
● 最早納入
需要による均等配賦オプションと組み合わせて使用する場合、供給分配計画オプティマイザによって、遅い需要の充足を計画する前に、可能であれば最早需要が完全に充足されるように均等配賦で指定することができます。このオプションを選択しない場合、オプティマイザでは、ATD 数量をさまざまな期間の需要に均等に配分しようとします。
供給分配計画オプティマイザによって、ATD 数量が供給先ロケーションの需要を超過することが検出された場合、SNP 供給分配計画最適化プロファイルで定義した供給過剰ルールが適用されます。以下の規則を利用することができます。
● 最小コストにもとづく配賦
配分する製品数量を計算するときに、供給分配計画オプティマイザによって、サプライチェーンモデルで定義されたコストおよび SNP 供給分配計画最適化プロファイルで指定された制約のみが考慮されます。ただし、一般に、未納入コストが高いために需要の未充足は回避されるので、供給先ロケーションでのすべての需要が充足されます。オプティマイザによって、過剰在庫は最小コストのロケーションに配分されます。これは、必ずしも需要があるロケーションである必要はありません。
● 需要によるプッシュ配賦
供給分配計画オプティマイザの主要な目的は、供給先ロケーションでの需要に従って、ATD 数量を均等に配分することです。ATD 数量が需要数量を超過するため、均等配賦状況と異なり、計算されたパーセンテージは 100% を超えます (供給先ロケーションでは需要を超えた数量を受け取る場合があります)。
均等配賦と同様に、計算された数量を配分するときに、サプライチェーンモデルで定義されたコストも考慮され、必要に応じて、総コストを削減できる場合はサプライチェーンでの迂回が受け入れられます。
● 最早納入
オプション需要によるプッシュ配賦と組み合わせて使用する場合、供給分配計画オプティマイザによって、利用可能なすべての ATD 数量が、プッシュ分配で、需要時刻が最も早い供給先ロケーションに配分されるように指定することができます。このオプションを選択しない場合、オプティマイザでは、ATD 数量をさまざまな期間の需要に均等に配分しようとします。
供給分配計画オプティマイザでは、サプライチェーンモデルで定義された以下のコストが考慮されます。
● 保管経費および輸送コスト
● 保管容量、輸送能力、および荷役能力の増大に伴うコスト
● 安全在庫ペナルティ
● 遅延納入ペナルティ
● 未納入ペナルティ
さまざまなコストタイプの相対的な重要度を設定するには、SNP コストプロファイルを使用します。
オプティマイザでは、SNP 供給分配計画最適化プロファイルに設定したすべてのサプライチェーンモデル制約が満たされたときに、計画は実行可能と見なされます。実行可能ソリューションでも、期日または安全在庫に関する制約違反が生じる場合があります。期日および安全在庫は、ソフト制約 (違反コストを割り当てる制約) です。ソフト制約に違反する計画がオプティマイザによって提案されるのは、その計画が、システムに指定されたコストに基づいて、コスト効率が最も高いものである場合のみです。
このオプティマイザでは、1 つの最適ソリューション内で計画と問題に関連する要素すべてが同時に考慮される、線形プログラミングの手法が使用されています。有効化する制約数が増えれば、最適化に関する問題もより複雑になるため、通常は問題解決のための時間も長くなります。通常、最適化はバックグラウンドジョブとして実行します。
オプティマイザでは、継続的な線形最適化問題とディスクリート最適化問題とが区別されます。
継続的な線形供給分配計画最適化問題を解決するには、SNP 供給分配計画最適化プロファイルから以下の3 つの方法のいずれかを選択します。
● プライマルシンプレックス法
● 双対単体法
● 内点法
いずれの方法でも、最適なソリューションに到達します。これらのいずれの方法を使用するかを決定する場合、実行時間が主要な影響要因になることがあります。ただし、(各方法を個別にテストするのは別として) 特定の問題に最良の方法を選択するための一般的なルールはありません。アプリケーションを評価するための効果的な方法は、テストシナリオに基づいてベンチマークを実施することです。これは、最適な選択方法が、入力データよりもサプライチェーンの構造により大きく依存しているためです。したがって、本稼働環境では毎日ベンチマークを実施する必要はありません。
モデルに以下のものが含まれている場合、供給分配計画オプティマイザに対して問題は継続的ではありません(ディスクリート)。
● 輸送のためのディスクリート (整数値) ロットサイズ
● 整数型輸送手段
● 輸送の最小ロットサイズ
● 輸送の区分化線形コスト関数
● 保管容量、輸送能力、および荷役能力
オプティマイザで上記制約のいずれかが考慮されるようにするには、SNP 供給分配計画最適化プロファイルのいずれかのディスクリート最適化方式を使用する必要があります。
マスタデータに定義することができる区分化線形コスト関数では、凸コスト関数(時間外勤務や夜間勤務のモデリングなど、量が増加するとユニット別原価が増加する) と凹コスト関数(輸送費レートのモデリングなど、量が増加するとユニット別原価が減少する) とが区別されます。
凸コスト関数では、計画の問題が複雑にならないため、効率よく解決することができます。ただし、区分化線形コスト関数は使用せず、代替モードを使用してモデリングすることもできます。
一方、凹区分化線形コスト関数はLP ソルバでは解決することができず、打切り方式(混合整数線形プログラミング) を使用することによってのみ解決することができます。区分化線形関数がモデリングされているものの、オプティマイザが打切りなしで実行される場合、または打切り期間が計画期間よりも短い場合、オプティマイザでは、区分化線形コスト関数以外に、定義済の線形コスト関数も考慮されます。

優先順位付けが厳格であるときには、ディスクリート最適化方式を使用することはできません(下記参照)。
ディスクリート最適化方式を使用すると、実行時の所要量が大幅に増大する場合があります。需給連鎖計画は中期計画機能であり、整数問題の解決 (ディスクリート最適化方式を使用する) には重点を置かないことに注意してください。
分解は、主に、最適化の実行時間およびメモリ所要量の削減に重点を置いています。また、ディスクリート問題が大きい場合には、供給分配計画オプティマイザで実行可能なソリューションを探す方法が分解以外にないこともあります。
分解は、ユーザが最適化の品質と所要実行時間とのトレードオフを均衡させることができる柔軟性の高いツールです。実行時間が制限されていない場合、オプティマイザは、通常、分解なしで的確な (最適な) ソリューションを提供します。一方、実行時間が固定である場合、分解を使用すると、オプティマイザが的確なソリューションまたは実行可能なソリューションを見つけるのに役立ちます。
供給分配計画オプティマイザで使用することができる分解方法を、以下で詳細に説明します。時間分解、製品分解、および内部供給分配計画分解方法は、線形最適化方式およびディスクリート最適化方式と組み合わせて使用することができます。リソース分解は、ディスクリート最適化と組み合わせてのみ使用することをお奨めします。
● 時間分解は、元々の問題を一連の部分問題に分割して、ソリューションプロセスにかかる時間を短縮します。これらの下位問題は順に解決されます。
● 製品分解は、製品グループを形成して、ソリューションプロセスにかかる時間を短縮します。完全モデルによって、選択した時間枠に従って、各製品グループが一度に 1 つずつ解決されます。一般的な原則は以下のとおりです。時間枠が小さければ小さいほどソリューションが見つかるまでの時間が短くなり、時間枠が大きければ大きいほど見つかったソリューションの品質がよくなります。
● リソース分解は、輸送および保管に関する品目フローとオプティマイザ基本決定を分析してリソース順序を決めることにより、ソリューションプロセスにかかる時間を短縮します。その後、オプティマイザは個々のリソース用に下位問題を登録することができます。各下位問題は順に解決されます。オプティマイザが各下位問題で決定を行い、これにより、リソースがロードされます。
リソースが常に同じような順序でロードされる場合には、特にリソース分解を使用することをお奨めします。メモリ所要量はリソース分解によって減少しません。メモリ所要量を削減するには、この分解方法と共に時間分解を使用することができます。リソース分解は、製品分解または厳格な優先順位付けと組み合わせて使用することはできません。
● 内部供給分配計画分解は、最適化問題を最小の部分問題に分割して、ソリューションプロセスにかかる時間を短縮することができます。これらの部分問題は順に解決されます。サプライチェーンモデルに特定の問題構造がある場合には、特にこの分解方法を使用することをお奨めします。たとえば、モデルに能力制約が含まれていない場合は、供給分配計画で製品を個別に配分することができます。これは、実行時間の短縮に役立ちます。
SNP
優先度プロファイルを使用すると、製品分解およびリソース分解の優先度を定義することもできます。つまり、オプティマイザが製品およびリソースを部分問題にグループ化して計画する順序を変更することができます。詳細については、
分解(SNP
オプティマイザの文書)
の
SNP
優先度プロファイルセクションを参照してください。
供給分配計画オプティマイザは、受注と予測需要の優先度を区別することができます。優先順位付けが厳格である場合、受注は常に優先度 1、修正済の需要予測は優先度 5、需要予測は優先度 6 になります。それぞれの優先度クラスにおいて、すべてのコスト情報を使用して最終的なソリューションが決定されます。コストベースの優先順位付けを使用している場合、オプティマイザは製品マスタデータ (SNP1 タブページ) から入手したペナルティコスト情報を使用して最適ソリューションを決定します。
● 所要量がバケット化されているため、供給分配計画の最適化実行の結果には、元の個別所要量に紐付されるオーダーは含まれません。
● 供給分配計画オプティマイザでは、グローバルに(すべてのロケーションで) 利用可能な能力全体および代替能力全体が考慮されます。
● 能力過負荷の場合、供給分配計画オプティマイザでは、システム設定に従い、ソリューションを提供しないか、またはペナルティコスト計算に基づいて能力を高めます。
●
供給分配計画オプティマイザでは、制限はありますが、製品の有効期限が考慮されます(
在庫計画のSNP
オプティマイザに関する情報を参照してください。これは、供給分配計画オプティマイザにも適用されます)。
● 供給分配計画オプティマイザでは、以下の3 つの供給分配計画期間が考慮されます。プル供給分配計画期間、プッシュ供給分配計画期間、および SNP 確認期間です。これらは供給分配計画最適化プロファイルに定義します。
詳細については、SNP
オプティマイザの文書を参照してください。これは、供給分配計画オプティマイザの文書とほぼ同じです
(たとえば、
SNP
オプティマイザの応用例を参照してください)。
参照: