事前出荷通知 (ASN) は、サプライヤと得意先のコラボレーションにおける主要な伝票です。サプライヤは ASN を使用し、製品を送付したことを得意先に通知します。ASN には、積送中の製品とその数量、および予定到着時刻が示されます。
サプライヤは、以下のオブジェクトに対して ASN を登録することができます。
● 予定入庫数量 (SMI に関連)
● 購買発注
● 分納契約リリース
● 補充指図
SAP Supply Network Collaboration (SAP SNC) の ASN 処理は、(サプライヤおよび得意先の観点から) SAP SNC で ASN を処理するための機能、および SAP SNC で出荷処理の進捗を定義するためのさまざまな機能から構成されています。
● サプライヤは、ASN 処理でマニュアルでASN を登録し、それらを得意先に送信することができます。該当する未処理出荷の開始ポイントとして、期限リストを使用することができます。これには、たとえば SMI プロセス内で、または得意先の購買伝票 (購買発注および分納契約リリース) に対して、サプライヤが納入日程行に登録した予定入庫数量または補充指図が含まれます。あるいは、サプライヤはバックエンドシステムで ASN を登録し、それらを SAP SNC に送信することができます。SAP SNC から、ASN が得意先のバックエンドシステムに送信されます。
● ASN 処理で、得意先は、サプライヤが予定している出荷や出荷済の製品について、および納入予定日について、概要を照会することができます。得意先は、バックエンドシステムから、製品の受領と入庫に関するメッセージを SAP SNC に送信することができます。あるいは、ASN 処理では、マニュアルで全数入庫を転記することも、マニュアルで ASN のステータスを終了に設定することもできます。
標準システムでは、ASN 処理に以下のXML メッセージが使用されます。
● DespatchedDeliveryNotification
サプライヤが SAP SNC で ASN を発行すると、SAP SNC でタイプ DespatchedDeliveryNotification の XML メッセージが生成され、メッセージが SAP NetWeaver に送信されます。SAP NetWeaver で、XML メッセージが得意先のメッセージ書式にマッピングされ、得意先のバックエンドシステムに送信されます。
● ReceivedDeliveryNotification
得意先は、入庫を行うと、入庫情報をメッセージとともにバックエンドシステムから SAP NetWeaver に送信します。SAP NetWeaver で、メッセージがタイプ ReceivedDeliveryNotification の XML メッセージにマッピングされ、XML メッセージが SAP SNC に送信されます。SAP SNC では、ReceivedDeliveryNotification に基づいてASNが更新されます。
得意先が SAP システムをバックエンドシステムとして使用している場合、バックエンドシステムで IDoc 書式のメッセージの送受信が行われます。SAP バックエンドシステムでは、ASN が入荷にマッピングされます。標準システムでは、以下の ASN IDoc に XSLT マッピングが提供されます。
● SAP ERP 6.0 以上: DELVRY05
この IDoc は、サービスパーツ管理ビジネスシナリオには関連しません。
● SAP ERP 6.0 より前のリリース: DELVRY03
標準 ASN 処理の詳細については、以下を参照してください。
● 例: 補充指図処理を使用したサプライヤ主導型在庫管理のメッセージフロー
サービスパーツ管理での ASN の処理を参照してください。
● ASN 処理には、各種タスク用の得意先固有 Web 画面とサプライヤ固有 Web 画面があります。
● サプライヤは、分納契約リリースと購買発注の ASN のみを登録することができます。ただし、SAP SNC の 確認管理で許可されていることが前提条件です。
● サプライヤは、ASN 処理で以下の機能を実行することができます。
○ 事前出荷通知のドラフト保存および最終バージョンのみの発行 (つまり、得意先に最終バージョンのみを送信します)
○ ASN のマニュアル取消
○ ASN 明細の丸め
○ ASN 明細の 梱包
○ 納品書とラベルの 印刷
● SAP SNC で、自動的に SAP SNC での内部 チェックが実行されます。このチェックは、たとえば、ASN の保存時に実行されます。このチェックでは、データが完全であり、エラーがないかどうかがチェックされます。標準システムでは、サプライヤは有効な ASN のみを発行することができます。
● Web ユーザインタフェース (UI) で、外部または内部 番号割当を ASN と荷役単位に設定することができます。
● 得意先とサプライヤは、ASN に関する ノートをヘッダレベルと明細レベルで登録することができます。ノートに対する変更は、ASN が発行されるまでは可能です。
● 監査証跡機能によって、ASN に対するすべての変更がログに記録されます。ASN 履歴に、旧バージョンの ASN が表示されます。
● SAP SNC で、ASN に関する例外状況に対して特別な ASN アラートが生成されるようにすることができます。