取引先としての " 仕入先" は、企業間の取引上、いくつかの異なる役割を担うことができます。調達トランザクションにおいては、仕入先は最初は 購買発注のあて先であり、次に品目の供給元となり、それから請求元、最終的には支払 受取人となります。このように1 つの仕入先は、複数の役割 ( 取引先機能) を1 つの仕入先に割り当てることができます。
このうちの 1 つまたは複数の役割 ( 取引先機能) を、他の仕入先にも割り当てることもできます。このデータは、ロジスティクスの後続プロセスや会計プロセスで使用されます。
カスタマイジング機能によって、仕入先マスタでどの取引先機能の入力を必須とするかまたは任意とするかを設定することができます。他の機能を設定しない場合、 仕入先機能のデータが適用されます。
仕入先マスタレコードでは、支払処理画面で他受取人を設定している場合、取引先機能の画面では、 他受取人は表示されるのみです。
ロジスティクス情報システム (LIS) 、およびビジネスインフォメーションウェアハウス (SAP BW) では、仕入先に対してのみ分析を実行することができます。標準システムで供給される他のどの取引先機能に対しても分析を実行することができません。
取引先機能を使用する際、次の設定を更新する必要があります。
キ 仕入先マスタレコード
ある仕入先のマスタレコードに入力されるすべての取引先に対して、それぞれ別々の仕入先マスタレコードがなければなりません。
キ カスタマイジング
購買管理 のカスタマイジングにて、取引先決定表を定義し、仕入先マスタレコードで使用する取引先機能を指定します。取引先決定表を、勘定グループに割り当てます。
購買管理 のカスタマイジングで、取引先決定 → 取引先機能 → 仕入先マスタレコードの取引先設定 → 定義: 取引先決定表 を選択して、使用する取引先機能および必須機能を指定します ( ここで、必要に応じて必須 区分 を選択します) 。
取引先決定表を関連する勘定グループに割り当てます。取引先決定 → 仕入先マスタレコードの取引先設定 → 割当: 取引先決定表 → 勘定グループ を選択して、必要に応じて購買組織、プラントおよび仕入先部門レベルごとに異なる取引先決定表を勘定グループに割り当てることができます。
" 代替データ" のレベル ( すなわちプラント/ 仕入先または VSR/ 仕入先) においてだけでなく、購買組織レベルにおいても取引先機能を検索する場合、購買管理のカスタマイジングで、 取引先決定 → 購買伝票の取引先設定 → 定義: 取引先決定表 → 取引先決定表の取引先機能 を選択して、上位検索区分を設定する必要があります。
また、取引先機能の決定を伝票入力プロセスの最初あるいは最後 ( 終了 区分) に行うかを指定することもできます。
プラントが初期値として定義されている場合、プロセスの最初に決定される取引先に対して、プラント固有の取引先が決定されます。
次の取引先機能は、在庫/ 購買管理で使用されます。
キ 仕入先 (VD)
キ 購買発注先住所 (OA)
キ 品目供給者 (GS)
キ 請求元 (IP)
請求元に対して条件を設定することができます。この設定を行うには、マスタデータ → 条件 → 割引/ 追加料金→ 請求元別を選択します。
これらの取引先機能は、ダウンストリームのロジスティクスおよび会計機能に影響を及ぼします。
取引先機能 |
影響 |
購買発注先住所 (OA) |
取引先機能 OA に対して他の取引先を定義すると、標準購買発注またはリリース発注は、仕入先 ( 機能 VD) の住所にではなく、取引先 OA の購買発注先住所に送信されます。 |
品目供給者 (GS) |
域内取引の場合 : 取引先機能 GS に対して EU の他のメンバ国から取引先を定義する場合、域内取引申告書の登録時に、標準購買発注またはリリース発注が考慮に入れられます。 仕入返品の場合: 取引先機能 GS に対して他の取引先を定義すると、品目供給者の住所が在庫管理の仕入返品に対して決定されます。 |
請求元 (IP) |
取引先機能 IP に対して他の取引先を定義すると、仕入先の勘定ではなく、請求元の勘定に請求書が登録されます。 |
仕入先マスタレコードで、複数の購買発注先住所または請求元を仕入先に割り当てた場合は、購買発注登録時に、1 つの購買発注先住所または請求元を決定する必要があります。
価格決定
価格決定目的で取引先機能を使用する場合、SAP で提供する拡張 LMEKO001 ( カスタマ Exit EXIT_SAPLMEKO_001) を使用することができます。
たとえば、さまざまな運送業者または海貨業者の運賃が購買価格決定プロセスで考慮に入れられるように、取引先機能 " 運送業者" を登録することができます。
出力決定
取引先機能を出力決定プロセスで考慮するようにしたい場合、カスタマイジングにおいて出力決定表を割り当てる際に、 取引先機能の新規決定区分を選択する必要があります。
購買管理 のカスタマイジングで、出力 → 出力管理→ 出力決定表 → 定義: < 購買伝票> の出力決定表 → 割当: 決定表 < 購買伝票に対して > を選択します。
区分を選択すると、購買伝票に登録されているすべての取引先は出力決定機能に渡されます。出力決定機能によって、取引先機能ごとに関連機能が含まれる条件レコードが検索されます。
購買発注に表示される仕入先 ( 取引先機能 'VD') と購買発注先住所 ( 取引先機能 'OA') の両方に出力を送信する場合、
標準出力 ( 出力タイプ 'NEU') 以外に、出力タイプを追加する必要があります。この出力タイプに対し、取引先機能 OA を使用して条件レコードを登録します。ここでは別の伝送媒体または別のプリンタを指定することができます。
出力タイプを追加する場合は、さまざまなカスタマイジング設定が必要になります。
必須事項:
キ 出力決定表に出力タイプを入力します。
( 出力 → 出力管理 → 出力決定表 → 定義: < 購買伝票> の出力決定表)
キ 微調整制御機能を更新して、処理ルーチンを入力します。
( 出力 → 出力管理 → 出力タイプ → 定義: < 購買伝票> と微調整制御 < 購買伝票> の出力タイプ)
代替データ
仕入先マスタレコードの取引先機能ビューで保存できる取引先は、特定の購買組織に適用されます。
ある購買組織レベルで有効である取引先に加えて、個別プラントまたは仕入先部門に対して 異なる取引先を設定することができます。この場合、ミネアポリスプラントに対する購買発注で決定された購買発注先住所以外に、アトランタプラントに対する購買発注では別の購買発注先住所が決定されます。
購買組織の下位レベルに対して異なる取引先を設定するには、取引先機能画面で 補足 → 代替データ を選びます。
購買組織レベルより下位の特定のレベルでのバリアントデータ設定に関する追加情報については、代替データの設定を参照してください。
勘定グループの取引先決定表で必須フラグが設定されている取引先機能は、仕入先マスタレコードの登録時、 取引先機能画面上に提案されます。
項目番号に仕入先コードを入力します。取引先機能購買発注先住所および 品目供給者が割り当てられている仕入先が、現購買組織に対して更新されているかどうかが確認されます。
仕入先マスタレコードの取引先を更新するには、マスタデータ → 仕入先 → 変更 と選択します。第一画面が表示されるので、取引先機能を選択します。