FI-SL マスタデータ : 特別目的元帳 

特別目的元帳で使われる元帳には、2つのタイプがあります。

標準元帳には、 FI-GL の総勘定元帳、 FI-LC/EC-MC の連結元帳、 EC-PCA の利益センタ元帳、および CO-OM-CEL 照合元帳があります。

FI-SL データベースは個別の論理単位または特別目的元帳にさらに分割可能です。特別目的元帳は、 FI-SL データベースにあるデータの集合体です。

原価センタ関連の情報を含む特別目的元帳を1つと、それとは別に製品関連の情報を含む特別目的元帳を1つ登録できます。

特別目的元帳は、以下を基準にして登録できます。

各元帳ごとに、オブジェクトテーブルのコーディングブロックのサブセットを定義するいくつかの次元が使われます。システム設定の際に、各データベーステーブル構造につき元帳を1つとするか、複数とするか、あるいはその両方とするかを定義することができます。 ABAP ディクショナリで最大コーディングブロックを定義した後で、各元帳でどの次元を使うかを定義してください。

 

 

特別目的元帳で使用可能な次元は、元帳に割り当てられた項目グループコードにより決まります。項目グループコードには、ソースデータベーステーブルから FI-SL データベーステーブルへ取り込まれた次元が含まれます。

1つのデータベーステーブル内に定義されている同一の次元を、複数の特別目的元帳で共有することができます。

 

 

上図のデータベーステーブルは、勘定、原価センタ、製品、プラント、およびソースの可変次元を含みます。

以下の2つのレポートを作成したいとします。

レポートに特別目的元帳を定義する際、製品、勘定、および原価センタの次元を使った特別目的元帳を1つ定義することが可能です。しかし、以下のように特別目的元帳を2つ定義すると、データベースの保管域をより効率良く使えます。

レポート1 ( 原価センタおよび製品次元 ) のデータレコードが選択され、保存されると、3つの次元 ( 製品、勘定、原価センタ ) すべてのデータではなく、この2つの次元について のみデータレコードの選択および保存が行われます。特別目的元帳 1 と特別目的元帳 2 を組み合わせたもう 1 つのレポート ( レポート 3) を登録することもできます。

特別目的元帳に使用する構造は、レポートに関するユーザ要求により決まります。元帳の構造を決める際、元帳で使われる次元のすべての組合せがデータベース内の新しいデータレコードになるということに注意してください。

データベーステーブルの次元を数多く含む大規模な特別目的元帳を1つ作成すれば、機能の点では、小さな特別目的元帳を多数作成する場合と同じになります。しかし、特定の次元の組合せを含む、より小さな特別目的元帳を 2 つ使うと、データベースのデータレコードのボリュームを節約できます。元帳内のデータ集計に関する詳細は、 データ集計を参照してください。

各特別目的元帳には、データベーステーブルに定義された特別目的元帳で使用する次元の一部または全部が含まれます。任意の取引について、転記する元帳を 1 つ以上選択することができます。

使用するデータベース構造に応じて、元帳は以下のどちらか一方になります。

ローカル元帳

ローカル元帳を使用して、ローカル会社コードに転記されるデータを保存することができます。

グローバル元帳

グローバル元帳を使用して、以下について転記されるデータを保存することができます。

ローカル会社コードは、ローカル元帳に割り当てることができます。また、同じローカル会社コードを ( グローバル元帳に割り当てられている ) グローバル会社コードに割り当てることも可能です。ローカル会社コード用の伝票がシステムに転記されるときは、ローカル元帳 およびグローバル元帳に対して転記が行われます。

命名規則 : 特別目的元帳の名前の最初の文字に数字 ( たとえば、 0A 1R 27 など ) を使うことは できません。現在使用中のシステム内に、数字を最初の文字として定義した特別目的元帳がある場合は、 SAP コンサルタントにご相談ください。

平均残高元帳

特別目的元帳に保存された集計データに基づいて、平均残高元帳を作成することもできます。平均残高元帳は、割り当てられた先の特別目的元帳の属性 ( 会計年度バリアント、関連テーブルなど ) を自動的に継承します。この元帳は、平均残高元帳を使用してレポートを登録するとき、あるいは元帳からのサマリレコードを照会するときに使用できます。また、転記日を使用して平均残高を決定すべきでない場合、この元帳に転記するユーザ Exit を作成することもできます。

複数の特別目的元帳

FI-SL システムでは、さまざまな種類の取引をさまざまな特別目的元帳に集計したり、数多くの取引をさまざまな元帳で更新することができます。また、特別目的元帳をすべての取引で必須とするかどうかも定義することができます。

次の図では、同じ伝票が複数の特別目的元帳に転記されていますが、転記される情報が異なります。

 

 

特別目的元帳を定義する際、元帳には 1 つ以上の会社を割り当てます。会社コード対して取引が入力されると、取引は割り当てられた元帳に自動的に転記されます。

財務に関するユーザニーズにあわせて、複数の特別目的元帳を登録することもできます。このためには、特別目的元帳で使う次元を指定します。

複数の特別目的元帳が必要となるのは次のような場合です。

特別目的元帳定義

特別目的元帳ごとに、以下を定義します。

マスタデータ情報では、元帳への転記方法、データを元帳にロールアップできるかどうか、またそれぞれのソースアプリケーションの再設定プログラムを使って元帳から取引データを削除できるかどうかも定義することができます。

FI-SL データベースでは、3つの通貨金額を同時に保存することができます。

特別目的元帳には、さまざまな組合せの通貨タイプを割り当てることができます。元帳を定義するとき、使用可能な通貨の組合せが自動的に表示されます。たとえば、元帳への転記を (FI ) 明細通貨または取引通貨を使って行う必要がある場合、システムデータベースをインストールするときに転記データの通貨情報を入力するよう指示されます。

特別目的元帳選択

FI-SL 元帳選択機能を使うと、転記用に元帳が選択される条件を詳細に定義できます。 FI-SL 統合マネージャではこの元帳選択条件を使って、どの特別目的元帳を転記対象として選択するかが決められます。

それぞれの取引は、ユーザ定義のルールに従って FI-SL データベースに転記されます。

以下の場合、特別目的元帳が転記用に選択されるように定義することができます。

元帳選択条件は、単純にも複雑にもできます。取引に含まれる任意の項目値、または項目値の組合せを、ルールの一部として使用できます ( 金額または数量を除く )

標準元帳の元帳選択条件は入力できません。

元帳定義に関する詳細は、 特別目的元帳導入ガイド (IMG) 元帳更新のステップを参照してください。

元帳の並行転記

特別目的元帳にはどの取引と次元を登録するかを定義でき、また、取引について特別目的元帳を必須とするかどうかも指定することができます。異なる種類の取引を1つの特別目的元帳に集計したり、あるいは1つの取引を多数の異なる特別目的元帳に転記することができます。

1つの取引に対して元帳選択条件と一致する特別目的元帳が複数ある場合、この取引は複数の特別目的元帳に転記されます。