残高繰越を行わない場合の手順

残高を自動的には繰り越さない場合、前年度に対応した相殺を現会計年度に後から転記する必要があります。

残高繰越プログラムを実行しない理由

以下のような場合には、残高繰越を行わないこともあります。

・ 一部の修正仕訳が、特定の1つの期間に対してしか有効でない場合。 上記の修正仕訳が会計年度の決算期間に転記される場合は、新しい会計年度にはその修正仕訳を転記しないでください。

年度末に取引会社間の統制勘定一覧が登録される場合、売掛金と買掛金の間に差額が生じますが、これは、出荷品がまだ運送中であるために片方にしか転記されていないためです。 修正仕訳によりこの差額は修正されますが、この修正仕訳は翌年度には無効になります。

・ 相殺仕訳を繰り越すと、残高繰越を実行した後に、通貨の換算レートが異なることによって生じる差額などを後続の年度で分析しにくくなることがあります。 追加情報については、 後続期間での差額の分割 ”連結アクティビティ” の章の ”会社間取引債権債務相殺” セクションを参照してください。

・ 連結仕訳の残高は、連結仕訳によって繰り越されます。 その結果、前年度からの変更だけが今年度に転記されます。 この場合に伝票内容を決定するのは、全体の仕訳を現会計期間に繰り越すよりも困難です。

選択した転記レベルの残高は、繰り越すことができません。 したがって、残高をすべて繰り越すか、全く繰り越さないかを決定する必要があります。

解決案

残高繰越なしを選択するよりも、以下の処理を行うことをお奨めします。

1. 残高を繰り越します。

2. 後続の期間で仕訳が自動的の取消される伝票タイプを使用して、関連する修正仕訳および相殺仕訳を取消します。

または、翌年度に一括取消機能を使用して転記を取消すこともできます。

詳細は、 転記を参照してください。

3番目の問題を解決するには、以下のオプションが利用できます。

・ 適切なレポートライタのレポートを使用して、伝票タイプ別の前年度残高を列に表示させることができます。

・ 残高繰越を選択しない場合は、以下のステップを行ってください。

残高繰越を行わない場合のステップ

導入ガイドの マスタ バージョン更新のステップにあるバージョン繰越フラグは選択しないで下さい。

ユーザ独自の要求により残高繰越を行わない場合に、異なる連結ステップに対して実行されるアクティビティを以下に説明します。

外貨換算

外貨換算プログラムは、残高繰越プログラムとは独立して機能します。 外貨換算キーを考慮して、各連結基準日ごとに値が再計算されます。

残高繰越を実行するかどうかは、グループ収益またはその他のグループ通貨値には影響を与えません。 残高繰越を実行 しない場合でも、当期利益に影響する外貨換算差額の処理には、特に影響はありません。この方法には選択科目が使用されるためです。

・ 当期利益に影響する外貨換算差額は絶対値で計算され、分類キー WPE が付いている統計選択科目に転記されます。

・ 後続の期間に、換算差額の絶対値と選択科目の値が比較され、現会計期間に適用する部分が決定されます。

・ 現会計期間の部分のみが損益計算書の差額科目に転記されます。

・ 後続の連結処理で、新規会計年度の初回の連結を行う場合、前期に適用されている絶対外貨換算差額は、分類キー BIL が付いている選択科目に移動されます。 これは通常、未処分剰余金科目です。

会社間取引債権債務相殺

会社間取引債権債務相殺プログラムでは、転記レベルが2以下の残高がデータベースから検索されます。 これは、相殺消去セットにあるすべての科目に対して行われます。 残高を繰り越さないと決定をした場合は、グループ内部の売掛金 / 買掛金および収益 / 費用が、各会計年度別に全額再計算されます。

残高繰越を実行するかどうかの決定は、当期利益に影響する相殺消去差額の処理には関係しません。 会社間関係が各会計年度ごとに全額計算される場合、その結果生じる差額は全額転記されます。 当期利益に影響するように差額を処理する場合の差額は、差額が発生した時期とは無関係に、今年度のグループ収益にのみ影響を与えます。

グループ収益が、今年度の会社間関係の相殺消去から生じる差額によってのみ影響されるようにするには、以下の2つの処理を行う必要があります。

1. 期間 001 の会社間取引債権債務相殺を、今年度の期首残高を基準にして実行します。

”未処分剰余金” など当期利益に影響しない科目を差額科目として相殺消去セットに割り当てます。

 

2. 連結基準日に会社間取引債権債務相殺を実行します。

当期利益に影響する科目を差額科目として相殺消去セットに割り当てます。

この2つのステップで会社間取引債権債務相殺を実行できるのは、現会計年度の期間 001 にまだ何も値が入力されていない場合のみです。 データ転送方法としてリアルタイム更新を使用している場合、または連結処理を月別に実行する場合などは、現会計年度に値が存在する可能性があります。

会社間取引債権債務相殺を行うためには、連結グループに割当てられている連結頻度に期間 001 が連結期間として含まれている必要があります。

棚卸資産の未実現利益消去

棚卸資産の未実現利益消去を行うためのプログラムでは、必要なデータをデータベースから読み込む代わりに、出荷データおよび在庫データのレポートテーブルにアクセスします。 その場合には、以下が行われます。

・ 前期および現会計期間のレポートテーブルデータの読み込み、および現会計期間の会社間損益の計算が実行されます。

未実現損益相殺消去の選択画面で、前期からの損益の転記フラグが設定されている場合の前期分が転記されます。

残高繰越を行わない場合は、現会計年度で最初に会社間損益の相殺を行う時に、損益を前期から繰り越してください。

相手勘定入力は、相手勘定明細として資産科目 ( 通常は在庫科目 ) に割り当てられた科目に転記されます。 現会計期間分と前期分は、区別することができます。 当期利益に影響する会社間損益を処理する場合は、以下の相手勘定明細を選択します。

・ 現会計期間からの損益についての損益計算書科目

・ 前期からの損益についての貸借対照表科目または未処分利益科目

振替資産の未実現利益消去

振替資産の未実現利益消去のためのプログラムでは、必要なデータをデータベースから読み込むかわりに、資産振替レポートテーブルのデータにアクセスします。 したがって、残高が繰り越されたかどうかはシステムでは認識されません。

連結仕訳は財務データに従って転記され、減価償却レポートテーブルに生じた変更は自動的に更新されます。 その後の期間では、現会計期間に対する減価償却調整を計算するのにこの値が使用されます。 このテーブルは、照会することはできますがマニュアル更新は行えません。

残高繰越を行わない場合は、未実現損益相殺消去および減価償却調整の結果として生じる振替固定資産と貸借対照表利益の値の変化は、翌年度の合計データベースでは喪失します。

システムによって転記されるのは、各期間内の入力だけです。また、今年度に対する後からの累計入力も行えません。 したがって、正確な連結値を取得するには、前年度から今年度への転記をマニュアルで入力する必要があります。 今年度への連結仕訳は、通常どおり自動的に行われます。

資本の連結

資本連結プログラムでは、必要なデータをデータベースから読み込むかわりに、資本連結レポートテーブルのデータにアクセスします。 ただし、一部の特殊な状況では、データベースから値が読み込まれる場合もあります ( 下記参照 )

残高繰越が行われない場合は、前期に適用する開始連結転記および後続の連結転記を現会計年度に累計入力することができます。

このようにして開始連結から仕訳の累積転記を実行すると、システムではレポートテーブルのデータにアクセスすることはできますが、転記済みのデータベース値にはアクセスできません。 このため、以下の制限があるので注意してください。

・ 当期純利益の少数株主持分は計算されません。この計算を行うにはデータベース値にアクセスする必要があるためです。

・ 連結の持分法については、投資の評価基準が更新中にゼロ未満になるかどうかのチェックが行われません。

・ 再評価方法を使用したステップ取得仕訳を転記する時は、投資消去差額 ( 価格調整 ) の少数株主持分を振り替えるために、データベースの科目値を読み込む必要があります。 これは、累積転記では不可能なため、登録値は不正確になります。